以下の物語はトルコの作家セルダル・オズカンの「失われた薔薇」からの引用です。
著者に許可をいただいたので、ここに掲載します:
.........................................................................
「・・・・ダイアナ。きみの苦しみは、どうやっても僕には分からないと思う。
きっと誰にも分かりはしないだろう。だから僕が何を言っても大した慰めにはならないと思うが・・・・。
事情が違うのは分かっている。でも、祖母が死んだとき、僕はとても辛かった。
どうすれば受け入れられるか分からなかったんだ。
その時、ある物語を読んだ。そしてとても感動したんだ」
ダイアナは以前、母がよく本を読んでくれた事を思い出し、涙を抑えきれなくなった。
「どんな話だったか、聞かせて」
「うん」
マサイアスは言った。
「海の波の物語なんだ。
・・・・・波は温かな太陽を浴び、心地よい風に吹かれながら、ぐんぐん進んでいった。
まわりのあらゆる物に微笑みつつ、浜辺へと近づいていくんだ。
ところが急に、自分の前を進んでいた波が一つまた一つと大きな岩にぶつかって砕け散るのに気づいた。
激しくぶつかって、粉々に砕けて消える。
『ああ、神様』波は叫んだ。
『僕もああやって終わるんだ。まもなく、僕も砕けて消えるんだ』
その時、横を通り過ぎようとした別の波が取り乱した最初の波に気づいて尋ねた。
『どうしたんだい?何がそんなに悲しいの?
ほら、こんなに素敵な天気じゃないか。太陽を見てごらん、そよ風を感じてごらん・・・・』
すると、最初の波が答えた。
『だって分からないのかい?ほら、前を行く波はみんな、あんなに激しく岩にぶつかっている。
そして跡形もなく消えていくんだよ。僕らももうすぐ、ああなるんだ』
『ああ、その事か』二番目の波が言った。
『だけど、分からないのかい?君は波じゃないんだ。
君は大海原の一部なんだよ』」
.........................................................................
セルダル・オズカン Serdar Ozkan
1975年トルコ生まれ。アメリカでマーケティングと心理学の学位を取得、その後母国トルコに戻り、イスタンブール・ボスポラス大学で心理学の勉強を続ける。2003年トルコで発表された『失われた薔薇』は稀にみるベストセラーとなり、その後著者自らの英訳により30カ国に翻訳権が売れ、世界中で多くの読者を獲得している。
現在、世界各国でベストセラーに更新中。
http://www.amazon.co.jp/失われた薔薇-セルダル-オズカン/dp/4863320515
セルダル・オズカン ホームページ
http://www.serdarozkan.com/
著者にはイスタンブールでパウロ・コエーリョさんに紹介していただき、
パウロさんのブログにここにアップしたイラストを描きました。
http://paulocoelhoblog.com/2011/03/29/30-sec-read-you-are-not-a-wave/
時期が時期だけに、実はこのイラストで波を描くのは無茶苦茶抵抗があった。
なので、アップした画像のようにとても抽象的なイラストになった。
しかし、後にセルダルさんからわざわざ「失われた薔薇」を送っていただき、読んでみると物語にそのまま当てはまるようなシーンが描いていたので驚いた。
「失われた薔薇」は第二の「星の王子様」「アルケミスト」と各国で話題になっています。
是非読んでください。